2015年末の原油安はなぜ起こったかのメインビジュアル
リーマン・ショック前後は1バレル=120ドルというまさしく狂気のような値段がついていた原油ですが、2015年に入って節目と言われる1バレル=50ドルを下回り、なおも下落を続けています。

なぜこのようなことになったのでしょうか。長引く原油安とその影響について見てみましょう。

原油安の原因?「シェール革命」

現在の原油安の原因はいくつかありますが、それらの中でも最も大きなものと言われているのがアメリカを中心に進んでいる「シェール(ガス)革命」です。
これまで原油の採取方法としては、中近東を中心に広く世界に分布する油田地帯から採掘する方法が最もコストが安く、主流となっていました。
しかし長年の技術開発により、それまでコスト的に見合わないと言われていたシェール層からの原油採取がコスト的に見合うようになり、2000年代に入るとアメリカを中心としてそれまでの油田採取に代わる資源として注目されるようになります。
2010年代に入ると商業化が本格的に行われ、それまで資源輸入国だったアメリカを一転して資源輸出国にするだけの採掘が始まり、それまで維持していた原子力発電所の廃炉を進めています。

シェア維持を図るOPEC加盟国と非加盟国

このようなシェール革命に対して、それまでの原油輸出国であった中近東のOPEC加盟国や非加盟産油国は、市場価格の暴落とも言える値下がりを承知の上で産出量の維持を決定します。
全世界の原油生産量の1割にあたる900万バレルを毎日輸入していたアメリカが輸入国から輸出国に転じることで、原油価格に対して値下げ圧力が働きました。
それまでOPEC加盟国はこのような値下げ圧力に対して産油量を削減することで対応してきましたが、今回の値下げ圧力は市場の需給調整ではなく、技術革新による産油量の増大であるため、安易に産油量を削減するとシェールオイルにシェアを奪われた上に原油収入が大きく落ち込むことにもなりかねません。そのような事態を回避するために、原油価格の暴落とも言える値下がりを承知の上で最大の産油国であるサウジアラビアが減産を見送り、OPEC加盟国も同様の判断を下しました。

これにより大きな影響を被ったのは、資源高を背景に経済的復活を図っていたロシアやベネズエラをはじめとする旧東側諸国です。既に積み立てた国庫の取り崩しに手を付けているとの一部報道もあり、これらの国をきっかけとする経済不安の可能性も噂されています。

このまま原油安は続くのか?

気になるのは、このまま原油価格の下落傾向が続くのかということですが、今後数年程度は大きな影響が予想されるものの、それ以降は安定に向かうとの見方が大勢を占めています。
短期的には原油価格の低迷によって世界経済にある程度の混乱をもたらすものの、世界経済の成長とともに原油需要の増大が見込まれます。
更に原油価格の下落は産油国から消費国への利益移転をまねき、日本に限ってもその効果は年間10兆円ちかくなると言われる莫大な金額です。これだけの金額がそのまま日本経済にとってプラスになるわけではありませんが、中長期的には経済活動の活発化を招くため、回りまわってアメリカの消費分を補って余りある原油需要の拡大が予想されます。

しかしどの程度の期間に渡って原油価格の混乱が続くのかについては、様々な意見があるために何とも言えません。
現在の世界経済や原油需要の動向から推測すると2020年前後には混乱は回復するという意見が主流ですが、もちろんそれよりも短期間で済む、あるいは長い時間が必要になるという意見もあり、その先行きは不透明です。

おわりに

原油価格の低迷は終わりを見せませんが、見方を変えれば価格が低迷している今こそが仕込みどきと言えそうです。
先物取引である限り更なるリスクの上積みはつつしむべきですが、リスクコントロールを十分にした上でなら本腰を入れて取引にかかりたいタイミングと言えるかもしれません。