2003年のイラク戦争以降不安定な状況が続く中東から、年明け早々にサウジアラビアとイランが国交断絶したというニュースが飛び込んできました。
なぜ今回、国交断絶にまで至ったのでしょうか。今回はその経緯と今後の影響について見てみます。

サウジアラビアとイラン断交の経緯

サウジアラビアとイランが国交断絶にまで至った経緯を見てみましょう。

サウジアラビアのジュベイル外相は3日夜、イランとの国交を断絶すると発表した。イランの首都テヘランで同日、サウジがイスラム教シーア派の高位聖職者ニムル師を処刑したことに抗議する群衆がサウジ大使館を襲撃したことなどに対する措置。両国が関与するシリアやイエメンなど中東各地での紛争や宗派対立がいっそう激化する恐れがある。

ジュベイル氏は記者会見で、サウジに駐在するイラン件外交団に対し、「全員が48時間以内に国外へ退去するよう求める」と述べた。また、「イランの歴史はアラブへの干渉と敵意に満ちている」とも語り、同国が中東地域を不安定化させようとしているとの見方を示した。
出典:サウジ、イランと国交断交 – 産経ニュース

今回処刑されたニムル師は、引用中にもあるように10億人の信徒を抱えるイスラム教内部の少数派閥であるシーア派の最高指導者の1人です。
ニムル師は2010年にシリアなどで起こった民主化を求める「アラブの春」以降、サウジアラビアの若者の間で絶大な人気を誇っていた宗教指導者としても知られています。

連鎖した中東諸国とイラン断交

このサウジアラビアとイランの断交をきっかけとして

  • バーレーンとスーダンがイランと国交断絶
  • 7日夜にサウジアラビアのイラン大使館に対して「意図的な空爆」

サウジアラビアとイランを中心として中東情勢は一時緊迫しました。
1週間ほどたった現時点では国交断交に続く何らかの動きはないものの、中東有数の大国である両国の今後の動向には注目する必要があると言えるでしょう。

イランの孤立が中東情勢に与える影響は

このように中東各国から国交断絶という厳しい現実を突きつけられているイランですが、国際社会でのイランの立ち位置に対して何かしらの影響があるのでしょうか。
2015年7月の包括合意に至るまで、イランは独自の核開発を続けていたためにアメリカをはじめとする世界各国から経済制裁を受けていました。
包括合意の提携によって国際社会からの経済制裁は徐々に解除されているものの全てが解除されたわけではないため、国交断絶が重なっても対処は容易という見方もあります。

イランの孤立が日本に与える影響は

イランの孤立が中東情勢に与える影響以上に気になるのが、日本経済に与える影響です。
最も大きな影響として考えられるのが、制裁解除により本格化の兆しが見えているイランからの原油輸入再開が滞ることです。

イランは確認されている世界の原油埋蔵量の1割ちかい埋蔵量があるため、1979年にイラン革命が起こるまで国内の石油商社が競って投資・開発を進めていた有望な原油供給元でした。
しかしイラン革命によってそれまでの王政からイスラム制に転換したことで国交が途絶えたために開発は中断し、日本はイランを除く中東諸国から原油を輸入していますが、アメリカをはじめとする各国とイランが包括合意の提携に至ったことで投資も再開され、再び今後の有力な原油供給国となることが期待されています。
今回のイランの孤立化は直接大きな影響はないものと思われますが、長期的に見ると何らかの影響がある可能性は否定できません。

おわりに

今回のサウジアラビアとイランの国交断絶は、国交断絶にともなう報復措置というエスカレートの危機はあったものの、比較的安定していると言えるでしょう。