シリア空爆と原油価格のメインビジュアル
連日のニュースを騒がせているISISや空爆の大元にある「シリア騒乱」には様々な国の思惑があります。

特にここ最近、大規模な空爆を続けているロシアの思惑のひとつには、原油価格に大きく関係しているとみられるものがあるようです。

シリア騒乱とは

シリア騒乱はアサド政権と反体制派の争いに加えて、シリア国外からも様々な勢力が介入していることで泥沼化、長期化している内乱です。
国外からの勢力に加えてアメリカ、ロシアといった様々な国が介入や支援をしているため、非常に複雑な様相を呈しています。
ISISなどの勢力はシリア国内だけでなく、先日のフランスでのテロ事件や外国人を誘拐して人質とするなど、諸外国にも攻撃をしているため、注目度は非常に高いといえます。
また、ロシアがアサド政権、アメリカが反体制派を支援しているとみられているため、一部では冷戦の再現、代理戦争などといわれることもあります。

シリアと原油の関係

シリアはサウジアラビア、イラン、イラクといったさらに原油の埋蔵量と生産量の高い国にほど近い場所にあります。

長期化しているシリア騒乱は地政学的リスク(特定の地域が抱える政治的、軍事的な緊張の高まりが、地理的な位置関係に影響されることで、その地域の経済ひいては世界経済の見通しを不透明にすること)を高めているため、様々な問題が度々懸念されています。
特に原油価格に関しては長期的に乱高下を繰り返しているため、大きな影響が出ているといえます。

シリア空爆から見えるロシアの思惑とは

ロシアがシリア空爆に参戦した狙いのひとつが「原油価格の高騰」です。
実はロシアの主力輸出物は天然ガスや原油であり、これらは現在の市場ではアメリカのシェールオイルの開発や、サウジアラビアなどが減産を行わないことなどを背景に超過供給に陥っているためにロシア経済は不振が続いています。

ソビエト連邦が原油の輸出が振るわなかったことを一因とする経済破綻で崩壊したこともあって、同じ轍を踏むまいと躍起になっているようです。
ソビエト連邦の時代に同じように原油価格が下落していた時には、アフガニスタンに軍事介入を行い、西欧諸国の原油供給のラインに侵攻することで、原油価格のつり上げを狙いました。

そしてロシアの経済成長率やGDPの低迷などが続くなか、プーチン大統領は多額の戦費を使ってシリアに軍事介入を決定しました。
今回はシリアに介入することにより、中東全体の地政学的リスクを活用することで原油価格の高騰を狙っているとみられています。

米国と中東諸国の動きは

原油価格の大きなキッカケをつくったアメリカの動きはというと、シェールオイルを含めた原油在庫が増え続けている模様です。
自国の分だけでなく、輸出ができるようになるほどにシェールオイルの採掘技術の開発が進んだために、かえって市場全体の供給量を増やしてしまったので、アメリカもまた原油価格下落の被害を被っています。
シェールオイルの採掘にはコストが多くかかるので、このまま原油価格の下落が続くのはアメリカにとってはマイナス要素になります。

おわりに

OPEC(石油輸出国機構)の加盟国はシェールオイルに対抗するために、市場シェアを保つために輸出量などに歯止めをかける予定はないとしています。
今後はロシアの思惑どおりに原油価格が高騰するのか、あるいはシェールオイルやOPECの超過供給が時間とともに落ち着いていくのかといったところが争点で、いずれにしても長期的な見方が重要になっています。